江戸蕎麦 一香庵 by Suzuasa
店名の由来
 そば通で有名な、江戸時代の書家「市河米庵」は、 そばのうまさは鮮度にあると言っています。それは、古いそば粉は香りが消えてしまうからです。つまり、「そばは香りが命」ということです。
 また、浅草・称往寺の道光庵で食べさせた打ち立てのそばが大好評であったことにちなみ、そば屋の屋号には「庵」が多く使われるようになりました。
 そして、私共お店は 「香」と「庵」の字を取り、新鮮で打ち立ての江戸そばをお客様に味わっていただく店として「一香庵」と名付けました。
有田焼の大皿
◆一香庵のこだわりの原点
◆蕎麦粉のこだわり(1)
◆器のこだわり
書という文化
 
 
 
 
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これこそすべて・・・そば粉

 職人の技は大切です。一香庵でも熟練と工夫と進取の精神で蕎麦のおいしさを日々追求しています。
しかしながら、蕎麦の材料は「そば粉」と「水」。このシンプルにして究極的な素材だけで作られる料理ののおいしさを決める第一歩は素材選びにあるといえるでしょう。逆に言うなれば、その他のすべての努力をもってしても、素材のクオリティを乗り越えることはできない厳しさがあります。

 
玄そば
 単に優れた材料を産出する地域の材料を使えば美味しいそばができるという訳にもいきません。原材料の収穫方法から保管、搬送方法、そしてどのように製粉するのか、すべての工程が大切です。特に最終工程の製粉に関しては石臼を使う方法が最良とされています。少量の粉を挽く場合には手回しの石臼でも可能ですが、たくさんの方々に美味しいそばを味わっていただくことを考えると動力を使って石臼をまわすことになります。
 
 そば粉という原材料をどのように蕎麦にしていくのか、今回はその第一歩である「粉挽き」についてお話しました。
石臼の動力は、人の手から水車小屋の水力、そして現在は電力と変遷してきました。
   
次回の[蕎麦粉のこだわり」第2弾は、産地についてご案内します。
一香庵のそばの産地は「北海道幌加内」です。
作付面積あたりの収穫量は南の産地と比較して厳しい制約のある北の大地のそばの実は、きめ細かな深い味わいをと強い腰の歯ごたえを出して、私たちの舌を楽しませてくれます。
 
 
 
道具という美学から・・・
 石臼の仕組みを簡単にご紹介します。一香庵のそば粉を挽く石臼はその動力こそ電気ですが、粉を挽く石臼の目は昔ながらの手回しの臼と変わりません。
石臼挽きの歴史は古く、紀元前1万年ぐらいには存在していたといわれています。ただ、現在の回して挽く方式ではなく、石で穀物を叩く「つき臼」か「石を摺り合わせてする「すり臼」でした。
上の図の仕組みは、丸い石の中心から主溝と呼ばれる溝が6〜8本延びており、その溝と溝の間にさらに細かい溝(副溝)が6〜10本切れています。上臼も下臼も同じ構造で、重ね合わせて回すと上臼と下臼の溝が交差するようになります。(上左の図)
臼は周辺から中心に向かって傾斜をつけて作られており、上臼と下臼を重ね合わせた中心部分に「ふくみ」と呼ばれる空間ができ、そこに上臼の供給口から入れたそばの実が一旦落ちて溜まります。
次に、上臼を時計と逆周りに回すと、そばの実は徐々に周辺に送れこまれていく。上下の溝が交差することで、実は剪段されて、ひきつぶされます。臼の重なりは周辺に行くほど狭く密着していき、ひきつぶされたものは細かくなり、下臼の溝から粉になって落ちていく。
石臼挽きのそば粉が良質といわれる理由は、この石臼の構造にあります。
参考文献:ものと人間の文化史25・粉の文化史・新食品事典ほか
挽き割り ・ 丸抜き ・ 玄そば
 
一香庵のこだわりは・・・
  美味しいそばの条件は「三たて」と言われています。
ひきたて、打ちたて、茹でたての三つです。
そのためにも毎日必要なだけの量を挽いて使う、一香庵こだわりのひとつなのです。
 
 一般的に石臼の石材の良し悪しが美味しいそば粉の条件にもなります。
最もよい石材と言われているのが「蜂巣石」と言われています。石に細かな穴が開いており、熱を持ちにくい材質の特徴がありますが、現在は手に入りません。花崗岩や砂岩、安山岩などが現在は使われていますが、最も多いのが「みかげ石」と言われる花崗岩です。
 
美味しいそば粉作りの陰には 、数千年にも及ぶ人類の知恵が凝縮された石臼の物語が存在していました。